看護の現場から、世界のステージへ
当グループの道央佐藤病院に勤務する看護師・成田楓さんにインタビューをさせていただきました。
成田さんは競技歴2年で「JBBF日本ジュニア選手権2025 ビキニフィットネス部門」で見事優勝。さらに、スペイン・サンタスサンナで開催された「IFBB世界フィットネス選手権2025 ビキニジュニア 21~23歳 160cm以下級」では、5位入賞という素晴らしい成績を収め、国内外で活躍を続ける注目の選手です。
多忙な医療現場と競技の世界を両立する成田さん。その原動力となっているものとは何なのでしょうか。
今回は、世界選手権に向けた取り組みやボディビルへの思い、そして看護師として日々の業務に向き合う姿についてお話を伺いました。

成田楓です。職業は看護師で、現在は中央第3病棟で働いています。
ボディビルを始めたきっかけは、専門学校を卒業後、就職した頃に「痩せたい」「スタイルを良くしたい」という思いから気分転換も兼ねてジムに通い始めたのがきっかけです。ボディビル歴は、2023年の7月頃からジムに通い始めたので3年弱くらいになります。
正直、入賞できるとは思っていませんでした。
この競技は6位以内が入賞で、決勝に進めるのも6人だけなんですよね。今回は12人ほど出場していて、各国のトップ選手が集まる大会だったので、「入賞は難しいだろうな」と思っていました。
決勝に進めばその時点で入賞が確定するのですが、まさか自分の名前が呼ばれるとは思っていなかったので、本当にびっくりしました。驚きの気持ちが強かったです。
ポージングとウォーキング、呼吸を意識して取り組みました。
トレーニングは4分割で行っていて、肩・背中・脚・お尻とハムストリングスに分けて鍛えていました。
また、ウエストを引き締めるために腹斜筋を意識したトレーニングも取り入れていました。
あと、「ドローイング」という呼吸法も行っていました。横隔膜や呼吸の動きを意識することで、ステージ上でウエストが細く見えやすくなるんです。これを続けるとだんだん引き締まってきます。
あとはピラティスですね。オールジャパンの時の写真を見たときに、自分の中で「横隔膜が少し広がって見えるな」という印象があって、そこをもっと引き締めた方がいいと思ったので、結構力入れてましたね。この競技は筋肉そのものだけでなく、筋肉の見え方も大切なので、ピラティスの効果は大きかったと思います。
全日本が終わってから世界選手権まで2か月ちょっとくらい期間があいて、その間に体型を維持するのが大変でした。
他国で開催された大会だったので、10時間ほど飛行機にのったりとかなりの移動時間があって、さらに時差もありました。
食事の内容や炭水化物の量によって筋肉の張りが変わってくるんですね。筋肉を調整するのに、水分や塩分を抜いたりするのですが、時差がある中で「何時にこれを食べて...」っていう食事管理が大変でしたね。
食事は日本からほとんど全部持っていきました。現地の食事はあまり頼らないようにしました。自分で用意したものを食べた方が安心ですし、コントロールしやすいので。非常食みたいにお米とか持っていきました。現地の食べ物はホテルや空港で少し食べたくらいです。
オールジャパンの初戦が今年の8月9日にあるんですけど、そこで3位以内に必ず入ることと、二か月後のグランドチャンピオンシップスっていう身長制限のない大会で決勝に残る、トップ6に入るというのが目標です。
団体名が「JBBF」、カテゴリーがビキニフィットネスです。
ボディビル競技でいうと、身長が低い方が筋肉がつきやすいです。身長が高い選手に比べると、筋肉の密度がぎゅっと詰まっているので筋量がつきやすくなります。
一方で、私が出場しているビキニフィットネスでは、身長が高い方が有利ですね。スタイルが良く見えやすいという点が大きな理由です。
ボディビルの競技にはいくつか部門があって、たとえば「フィジーク」という競技はフィットネス部門に入ります。
女子フィジークや男子ボディビルはボディビル部門、男子フィジークや私が出場しているビキニフィットネスはフィットネス部門という位置づけです。ビキニフィットネスは、筋肉量を競うというよりも、見せ方やスタイルの良さが重視されます。世界選手権になると、海外の選手は身長が高い方も多いので"花形"って言われたりしますね。
日本でいうと、158cm以下・163cm以下・163cm超の3つのクラスに分かれてるんですが、グランドチャンピオンシップスの去年のトップ6のうち3人が158cm以下部門なので激戦区ですね、大変です。
始める前は、痩せることを重視していて、「とにかく体重を減らしたい!」ということばかり考えていました。
でも、大会に出るようになって、体重も大事ではあるんですけど、ボディビルと出会って「数字だけでは測れないものがあるな」と感じるようになりました。体脂肪の量が同じくらいでも、痩せて見える・見えないっていうのがあったりして、「体重だけじゃないんだな」と思いました。
あとは今までに見たことない自分に出会えるというところですね。
「自分ってこんな体になれるんだ」「人間の体面白い!」みたいな。またその体を見たいから頑張ろうと思えるところですね。1年で大会を何回も出れるわけじゃないので、今年どうだったかなって思うのも楽しみです。
どんどん進化する自分の姿を見ることが原動力になってます。
メンタルや考え方ですかね。あとは自分を大切にするというところが結構考えが変わりました。
トレーニングは継続することが何より大事なので、ずっとやり続けるというところが、単純なことではあるんですけど一番大変ですね。
あとは減量ですね。やっぱり「食べたい!」って思ってしまう部分もあるので(笑)
脂っこいものとか、太る食べ物が大好きなんで! それを抑えるのも結構つらかったりしますね。
ずっと続けていくと、「もういらないや」みたいな感じで慣れてくる部分もあるんですけど、減量に入った時はやっぱり大変ですね。
シーズン中もオフもあまり変わりはしないですけど、日勤のときは真っすぐトレーニングに行って、夜勤の時は一回家に帰ってから夕方に行ってます。あとは休みの日に行ったりとか、シーズン中で大会近くなってくると、夜勤の前にいったりしますね。
オフかシーズン中かで変わりますね。
シーズン中だったら夜勤明けの方が良いかもしれないです。なぜかというと、食事に偏りが出るのでカロリーとるとすごく眠たくなってだるくなって寝てしまうんですよね。減量に入ってからは、無駄なカロリーを一切取っていないのもあって体が結構軽いですね。
カロリーを取っていないとあまり眠れないので、2〜3時間寝て意外とすっきりして(笑)、そのままトレーニングに行くっていう感じです。なので、減量中だと夜勤明けの方がジムに行きやすいですね。
逆に今みたいなオフの時期だと、日勤終わりに行くとめっちゃお腹がすいてしまって、「食べないと無理!」ってなることが結構ありますね。
日々の積み重ねだと思います。
トレーニングも、継続してジムに行くのが基本になってくるし、仕事でも日々の積み重ねで患者さんとの信頼関係が築けるというところが、共通しているかなと思います。
競技は自らやらなくてもいいことをわざわざ選んでやってるので(笑)
好きでやってることなので、応援してもらっている以上、まず仕事をおろそかにしないという点ですかね。
大会の時は連休をいただいたりしていて、この前の世界選手権の時も10日くらいお休みをいただいたんですよね。
そんなに長い連休を取らせてくれる職場って...特に看護師だと、なかなかないと思うんですよね。そういうところが一番感謝しているところです。
「競技のために休み取らなくて大丈夫?」って言ってくださったりとか、師長さんの理解が深いところも結構大きいです。
休みのことを、わざわざ師長さんの方から心配してくださるなんて、そんな病棟も病院もまず聞いたことがないので、本当にありがたいです。
新聞とか雑誌、あとはネットニュースに載ったりするんですけど、それを「みたよ!」って声かけてくれることが多くて、よく見つけてくれるなーって(笑)言ってくれると嬉しくなりますね。
病棟にも新聞の記事を張ってくれたりとか、有難いです。恥ずかしいですけど嬉しいです。

それ、私も思ったんですけど、新聞に何回も載ってても、一回も言われたことないんですよ。
まさかこの人だとは思わないんだろうなって。
「ちゃんと見てるのかな?」「名前わかってるのかな?」ってなりますね(笑)
忍耐力かなと思いますね。
患者さんとの関わり方って、身体的なオペをする病院とは全然違うと思うので、どうしても耐えなきゃいけないところがあります。
日常的な話をするにしても精神疾患のある方と話すのでは違う部分がありますし、嫌なことを言われることもあるし、いろいろ言われても対応しなければいけないという点での忍耐力ですね。
「行きたくないなー」って思いながらジムに行くのも、減量をなんとか耐えるのも、そういうところはボディビルにも共通しているかなと思います。
中学のころから高校まで母子家庭だったんですよね。
大学に進学するとなっても、金銭的に余裕がないだろうなと思っていて、かといって就職するのもな...と思っていました。
中学の時はキャビンアテンダントになりたかったんですけど、身長も足りないし、長く働きたいと思っていても辞めてしまう人も多いと聞いて。
近くで、安定して長く働ける仕事って考えた時に、看護師しかないなと思って志望しました。
看護学生の時に、道央佐藤病院で実習を経験したことがありました。
穏やかな方が多く、病棟の雰囲気もすごいよくて指導者さんもいい人だったというのもあってここを志望しました。
ちょっとしたことでも、患者さんの治療が進んでいるとそれがやりがいなのかなと思います。
たとえば、精神科は入院してから退院するまでが長くて、何年もいらっしゃる方もいるので、やりがいを感じる場面って、ほかの病院に比べると少ないのかなと思うんです。他科ですと、オペのあとにリハビリをして、急スピードで良くなっていく、みたいな場面がやりがいを感じる機会になると思うんです。
でも、精神科はそういう変化が少ないので、少しでも退院に近づけば「よかったな」と思います。
まずオールジャパンで優勝すること、そのあとまた世界選手権に進むことです!
いつも応援してもらってありがとうございます。
今年もできれば日本一目指して頑張るので、応援よろしくお願いします!
医療現場という、いつ何が起きてもおかしくない忙しい環境で働きながらも、ボディビルを通してご自身を磨き続けている姿に大変感銘を受けました。
毎日の業務だけでも大変な中で、自分自身と向き合い努力を積み重ねている点は、簡単にできることではありません。
ご自身を大切にされているからこそ、疾患を抱えた患者さん一人ひとりに親身に寄り添い、その回復を支えることができるのだと感じました。
身体づくりだけでなく、日々の姿勢や考え方にもその意識が表れているように思います。当たり前のことを続けていくことの難しさ、そしてその積み重ねの大切さを改めて実感しました。
成田さんの今後のさらなるご活躍を心よりお祈りし、応援しております!